第三楽章

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どうして! どうして! わからない! わからない! 理解したくない! 崩れる。 崩れる。 崩れていく。 私の世界が無惨にも崩壊していく。 荒れ狂う突風。 燃え盛る業火。 揺れ動く大地。 氾濫した湖。 崩壊する世界。 多彩な色に彩られた新緑の森は全て紅蓮に包まれて、焼けた大地と炭だけが残る無惨な漆黒の闇と化す。 煌びやかな湖に浮かぶ世界も荒波に飲み込まれ、見るに堪えない灰色の廃墟となる。 私のあの喜びは何だったの? あれだけ、楽しかったひと時は? 嬉しさのあまり微笑んでいた私は? 嘘! 嘘! 全部嘘! 全ては偽りの世界だったの!? やめて! やめて! 知りたくない! 私は知りたくないの! 助けて! 助けて! 誰か私を助けて! 不安、恐怖、悲壮、 失望、絶望、虚無、 溢れる負の感情がぐるぐると渦を巻き、竜巻となって荒れ狂い、私の心をズタズタに引き裂いて、全てを薙ぎ払っていく。 残ったその負の感情は留まることを知らずに溢れ続け、雫となって私の頬を滴り落ち、声にならない声となって口から吐き出される。どうしようも出来ない苦痛に私はひたすら走り続け、嗚咽するしかできない。
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