陽のあたる坂道

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「つっくんにはありそうじゃない? ごめんなさいって言い過ぎて『うるせぇ』とか言われて殴られるの。うん、ありがち」 つっくんというのは僕のことだけど、そんなに情けないこともないんじゃないか? 僕はそう思ったけれど、 「ああ、それはあるな」 と紫宮は荻原に同意し、更には、 「でしょ? 私ですらたまに殴りたくなるんだもん」 なんてことまで言われてしまう。 あれ、僕はそんなにダメな人っぽいのだろうか。 「それじゃ、答え合わせするか。 何で怪我したのか教えろよ」 紫宮に聞かれ、僕は迷う。 何でと聞かれると、そりゃヤンキーと喧嘩したからだが、その根本にあるのは結局あの思い込みがあるのだ。 『僕は死なない』なんて妄信が。 きっとこの二人は僕が喧嘩したなんて言えばその理由を聞くだろう。 けれどそこには理由にならない理由しかない。 終いに僕は朝と同じ答えを言うことにした。 「コンビニ、マーマレード買いに行ったらこうなった」 どちらにしろこれも理由にならない理由だよな、なんて思いながら。
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