捧げた御身に報うべく

陽のあたる坂道

今日の僕に向けられた関心は、怪我を見て彼らの持った好奇心は、僕の答えによって裏切られたのではないか？

そんな不安があるから。

主観的に見ても今日の僕はダメダメだった。

他人の視点で見れば、言わずもがな。

俯きがちに歩いていた僕は気持ちを入れ替えようと、顔を上げた。

いつの間にか帰路の半分近くを進んでいたらしい。

今日の朝に神崎と出会った住宅地の辺りまで来ていた。

変わらず歩いていると、風が吹いた。

初夏、とも言いづらくなってきた季節の風は強い日差しに熱せられた僕の汗ばんだ皮膚をなぜて通り過ぎる。

心地よいそれは、僕に夏が来たことを感じさせた。