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「左腕に包帯巻いてる貴方よ。聞いてないの?
それとも貴方は挨拶されてもそれを返さない様にしつけられてきたのかしら。
礼儀がなってないのね。どんな家庭環境でそうなったのか知らないし、もしかしたら何かのっぴきならない事情があるのかも知れないけど非常に不愉快だわ」
僕だった。
まごうことなく僕に宛てた罵倒だった。
女の子に直接「不愉快だわ」なんて言われたの初めてだ、怖いちびりそう、てかのっぴきならないなんて微妙な言葉を人の口から聞いたのも初めてかも知れない。
恐る恐る、神崎に目を遣ると彼女はじっとこちらを見ていた。
長い黒髪は乱れることなく背中まで伸びていて、白い肌によく似合っている。
女子にしては背が高い。
170はありそうだ。
初めて直視したそのクラスメイトは随分と美人さんだったけれど、僕が何より印象的だと感じたのは彼女の視線の冷たさ。
すげーこわい。
「やっと反応したわね。
貴方、同じクラスでしょう?名前はなんと言ったかしら」
その澄んだ声は抑揚のない喋り方と相まって、視線と同じような冷たさを持っている。
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