~魔王城にて~

2/3
前へ
/552ページ
次へ
 魔族と魔物達が暮らしているクラクシア国。 そんな国の『魔王城』と呼ばれる3つの王座に魔族ではない人間2人、しかも2人とも17歳位の男、そして小さな黒い竜が1匹腰を掛けていた。 2人はどう見ても人間。 魔族という種族ではない…… しかも竜は普通魔族や魔物達の居る場所には居ないのに、ここには堂々と居る。 「暇だね……」  人間の内の1人、ストレート黒髪のキリッとした黒い瞳、身長は176cm位だろうか? きっと道を歩いたら、皆が振り向くだろう。 そんな彼が、ため息混じりにそう言ったのを皮切りに他の2人?からも声が上がる。 「暇だね キャッキャッキャ」  もう1人の人間が変な笑い声を語尾につけながら言う。 ツンツン頭の赤い髪と赤い瞳、身長は黒髪の少年と同じくらいだろうか? どことなく、先程の黒髪の少年と顔が似ている。  彼は座っている王座の肘掛けを人差し指でコツコツと叩いている。 「そうだな、暇だな」  と小さな黒い竜も声を発する。声的には雄だろうか? 普通の人間達が指す竜は、言語を話す事はできないはずなのだが、どうやらこの黒い竜はそれには当てはまらないらしい。 黒い薄い皮膜の翼を背中に生やし、長い尻尾を暇つぶしの様に2本の爪の生えた手で弄りながら言う。 「なぁ……学校に通ってみないか?」  黒髪の少年が突然そんな提案する。 それに軽く眉を持ち上げながら、真っ先に反応したのは赤髪の少年。 「何でだ? 特に学ぶことはないはずだろ? キャッキャッキャ」 「我もそう思うのだが……」  黒い竜も赤髪の少年に同意を示すようにそう言うと、今度はゆっくりと黒髪の少年が口を開いた。 「ほら……『女神』とその…学校生活してみたくないか?」  そう言った黒い髪の少年が恥かしそう顔を赤くなっていた。 すると突然赤い髪の少年の目に何やら強い光が宿る。 「したいな!」 「だよな!」  赤い髪の少年と黒い髪の少年が同時に立ち上がった。 「我も勿論行くぞ?暇だからな!」  黒い竜は楽しそうな事が見つかったと、という感じでゆっくりと立ち上がる。
/552ページ

最初のコメントを投稿しよう!

91656人が本棚に入れています
本棚に追加