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魔族と魔物達が暮らしているクラクシア国。
そんな国の『魔王城』と呼ばれる3つの王座に魔族ではない人間2人、しかも2人とも17歳位の男、そして小さな黒い竜が1匹腰を掛けていた。
2人はどう見ても人間。
魔族という種族ではない……
しかも竜は普通魔族や魔物達の居る場所には居ないのに、ここには堂々と居る。
「暇だね……」
人間の内の1人、ストレート黒髪のキリッとした黒い瞳、身長は176cm位だろうか?
きっと道を歩いたら、皆が振り向くだろう。
そんな彼が、ため息混じりにそう言ったのを皮切りに他の2人?からも声が上がる。
「暇だね キャッキャッキャ」
もう1人の人間が変な笑い声を語尾につけながら言う。
ツンツン頭の赤い髪と赤い瞳、身長は黒髪の少年と同じくらいだろうか?
どことなく、先程の黒髪の少年と顔が似ている。
彼は座っている王座の肘掛けを人差し指でコツコツと叩いている。
「そうだな、暇だな」
と小さな黒い竜も声を発する。声的には雄だろうか?
普通の人間達が指す竜は、言語を話す事はできないはずなのだが、どうやらこの黒い竜はそれには当てはまらないらしい。
黒い薄い皮膜の翼を背中に生やし、長い尻尾を暇つぶしの様に2本の爪の生えた手で弄りながら言う。
「なぁ……学校に通ってみないか?」
黒髪の少年が突然そんな提案する。
それに軽く眉を持ち上げながら、真っ先に反応したのは赤髪の少年。
「何でだ? 特に学ぶことはないはずだろ? キャッキャッキャ」
「我もそう思うのだが……」
黒い竜も赤髪の少年に同意を示すようにそう言うと、今度はゆっくりと黒髪の少年が口を開いた。
「ほら……『女神』とその…学校生活してみたくないか?」
そう言った黒い髪の少年が恥かしそう顔を赤くなっていた。
すると突然赤い髪の少年の目に何やら強い光が宿る。
「したいな!」
「だよな!」
赤い髪の少年と黒い髪の少年が同時に立ち上がった。
「我も勿論行くぞ?暇だからな!」
黒い竜は楽しそうな事が見つかったと、という感じでゆっくりと立ち上がる。
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