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「ありがとう」 「いえいえお気になさらずに」  頬を緩めながら笑顔で答えるガウスさん。 僕はゆっくりと椅子に腰をかけると、お父さんがふと声をかけてきた。 「今日も学校かい?」 「うん」 「あまり無理しないでね?」  とお母さんが心配そうに言う。 あの事件の時以来お母さんは結構心配性になった。 出血多量で死にかけたからかな? 「無理はしないよ」  僕がそう微笑みながら言うとお母さんはほっと胸をおろした。 それと同時にそれぞれに運ばれてくる、朝御飯。 丸い白いお皿には、狐色に焼けたトーストとスクランブルエッグ、その下には上手くキャベツかな?緑色の新鮮そうな野菜が綺麗に敷かれていた。 「今日も頑張ってきなさい」  お父さんは運ばれてきたトーストにかぶりつきながら、微笑みを向けてくれた。 「うん」  僕はそんな温かい会話をしながらご飯を食べきった。 僕は食べきってすぐに、ご馳走様でしたと口にしてから、立ち上がり少し急ぐように食堂の出ようとする。 「いってらっしゃい」 「気をつけろよ」  お母さんとお父さんのそんな言葉に、僕は笑みを浮かべながら、いってきますと返事をすると食堂のドアをガウスさんが開けて待っていてくれた。 何で急いでいるかって言うと、アリスがいつもこの時間には馬車を用意して家の前で待っていてくれるから。 やっぱり待たせるのは良くないから僕は早歩きで家の門へと向かう。 正直こういう時は家が小さいほうが良いと思うんだけどな。 そんな事を考えながら家を出ようとすると後ろから声がかかった。 「ケイトお坊ちゃま、いってらっしゃいませ」  振り向くとガウスさんが笑顔で一礼していた。 「うん!いってくるね!」  僕は手を振りながらアリスの待つ場所へと走った。  今日はどんな話をしようかな? と馬車の中でする雑談のことを考えながら足を進める。  大きな玄関から外へと出て、門へと続く綺麗に灰色の石がしかれた道を小走りをしながら、いつものアリスとの待ち合わせ場所はと向う。 目を凝らせば、いつもアリスが待ってくれている所にはすでに馬車があるのが見える。 「待たせちゃってるかな?」  そんな事を僕は呟きながら馬車へと進める足の速度を速めた。 少しでもアリスを待たせないようにと思いながら……
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