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そんな時もう意識の無いはずのケイトの唇が微かに、動き消え入るような声で呟きました。
「アリスは……僕が守るんだ、アリスは僕が守るんだ……」
まるで呪文のように何度も繰り返し、どこかへ消えていくような言葉。
「大丈夫だ…アリスは無事だから…無事だから死ぬな!ケイト!」
そう言って涙を流しながらケイトのお父さんは回復魔法をかけました。
それでもケイトはなお、弱々しい言葉で呟く……
「アリスは僕が守るんだ、アリスは僕が……」
「お前は偉いぞ!ちゃんと守りきったぞ!だから死なないでくれ!頼むケイト!」
もう涙をひたすら流しながら回復魔法をかけるケイトのお父さん。
しかし、いっこうに血が止まる気配がない。
私を守るためにこんなにボロボロになってる……
こんなに血を流してる。
小さな私でもわかりました。
遅れて駆けつけて来たのはケイトのお母さんと私の両親。
ケイトのお母さんがケイトが血だらけの状態を見て、目を見開き悲鳴に近い声で叫びました。
「ケイト!!!」
すぐさま近寄るとすぐにケイトのお母さんも泣きながら、すぐに回復魔法をかけ始めました。
「ケイト君!!!」
そう言って私の両親もすぐに回復魔法をかけ始めます。
そんな最中にもケイトは消え入りそうな声言う。
「アリスは僕が守るんだ……アリスは僕が……守るんだ」
「ちゃんと娘は無事だよ……だから死なないでくれケイト君」
私のお父さんは、そうケイトに言葉を投げかけながら涙目になりながらも回復魔法をかけ続けていた。
その間最後の最後まで……
まるで大切な呪文の様に言っていました。
「アリスは僕が守るんだ」
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