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それから……家に着くと家の中が大騒ぎになっていました。
「ケイトお坊ちゃまが大怪我をなされたらしいぞ!」
黒い燕尾服に身を包んだ執事さんの1人が他の執事さんやメイドさんへと伝えていました。
それを聞いた執事さんが、また次の人へと伝える……そんな状況で、でも彼らは足を止める事無く、医療セットや白いタオルなどを忙しなく運んでいました。
私の家の使用人さんはケイトの家族を物凄く慕っています。
他の貴族とは違って、平民に威張らず平等な立場で接しているからだと思います。
ちなみに私とケイトの婚約が決まった時なんて、両方の家の執事さんとメイドさんが万歳をたくさんしていたのを今でも覚えている位凄かったんです。
この時は何でそんなに喜んでいるのか分からなかったけれど、今なら分かる気がします。
平民と平等な立場で接する貴族同士が一緒になったのだから……平民達にとってはさらにいい統治をしてくれる!と考えたんだと。
バタバタと執事さん達が走り回る音が家から響いていました。
その足音はどこか切羽詰っているように、緊張に包まれた足音。
私とお母さんも執事さんに案内されて、ケイトが居る部屋へと向かいました。 ケイトの部屋の前では、たくさんの執事さんとメイドさん達が扉の前で心配そうな顔をしながら、扉を見ていました。
私とお母さんは執事さん達に一礼をしてから、扉を開けて部屋の中へと入っていきました。
中にはケイトの両親と私のお父さん、それに白衣を着たお医者さんがベットにうつ伏せに眠るケイトを涙を流しながら見つめていました。
その部屋の雰囲気が、物凄く重くて私はその部屋に足を踏み入れるのに少し勇気が必要でした。
お医者さんらしき白衣を身に纏った人が手にたくさんの機材を持ちながら、私達と入れ替わるように部屋から出て行きました。
私達はケイトが寝ているベッドへと近く。
ベッドを挟んで反対側、窓側にケイトの両親が座っています。
私の家族はドア側に座りました。
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