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「なぁ……タクト?この視線どうにかできないか?キャッキャッキャ」
茶髪ツンツンとした頭で茶色の瞳の少年が困ったなと表情をしかめながら言う。
「そんな事言われても俺にはどうすることもできないな……
アツシの髪は染めて瞳の色も変えた筈なのになんでだろうな?」
タクトと呼ばれた黒髪、黒い瞳の少年は引きつった笑みを浮かべている。
そして小さな黒い竜がタクトの肩に乗り、苦笑いの表情を浮かべている。
2人と1匹には凄い女子の視線が向けられていた。
目を惹くようなイケメンが2人ならんで歩いているのだから。
「茶色と黒で逆に目立ってるのか?」
アツシは困ったという感じで頬を掻きながらそう言うと、タクトが苦笑いを浮かべながら彼に返事を返す。
「どうせ目立つなら逆に赤の方が良かったのかな?」
どうやら2人は自分がイケメンだと気がついてない様子である。
「タクトも地毛と瞳は赤だもんな!本当は。
なぁガルトス?キャッキャッキャ」
アツシはタクトの肩に乗っている黒い竜に同意を求めた。
すると黒い竜は小さく頷いた。
そんな時、3人の耳へ突然入ってきたのは声。
「落ちこぼれめ……」
「貴族の恥さらし……」
2人は首を傾げながらそう言った奴の視線の先を追うと、少し前方斜め前を歩く一組の男女が目に入る。
男の方は薄い青色の瞳と髪の毛の持ち主で歳よりも少し若く見える童顔。
でも、顔立ちは整っている。
女の方は長い金髪と金色の瞳でスタイルもよく美少女。
そんな2人を見た時、タクトとアツシの顔つきが変わった。
「おい、あの男の方……」
「ああ間違いないの、魔力回路と魔力の源の方が誰かに故意的に破壊されてやがる」
タクトとアツシは視線を2人に向けたまま眉を険しくさせながら言う。
黒い竜の表情もどこか険しく感じる。
「なぁ……」
「わかってるよ、そんな事をできて、なおかつするのは今はあの世に居る……元『魔王』位だ キャッキャッキャ」
とタクトが言葉を続ける前にアツシが言った。
最後の奇妙な笑い声は全く笑っていなかった。
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