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そんな冷たい視線と悪口の中をアリスとしゃべりながら時間を潰していると、先生が入ってきた。
ザンゴ先生は、教壇の所まで来るとゆっくりと口を開いた。
「さっさと席に着け」
見てわかるほど、屈強な身体
グレーの髪の毛短髪で、グレーの瞳。
身長は190cm位だろうか?結構大柄な貴族出身の先生。
ちなみに学校の先生のほとんどが貴族だ。
去年もこの先生が担任だったんだけど……
「ふん、まだ落ちこぼれは居たのか」
こちらに視線を向けて嘲笑いながら先生は言う。
それを聞いた生徒たちは同じようにこちらを見て笑う。
どんな先生でも絶対に僕をいじめにかかる。
去年も、その前の違う担任の先生の時も何度も言われたから慣れてる。
横に居るアリスは怒りを宿した目で先生を睨む。
しかし、先生はそんな視線を嘲笑いながら無視し、口を開く。
「今日は突然だが模擬戦をやろうと思う。
なので格闘場に移動しよう。
誰かさんのようにボコボコにされないようにな」
口元を持ち上げ、こちらにニタニタとした笑みを向ける。
そして同時に、僕がボコボコにされる姿を見たいと思っている事がわかる寒気のするような視線。
僕に向けてないよね?と心の中で1歩逃げてみるけど、その視線はやっぱり僕に向いている。
その言葉で他の生徒たちも大笑いをする。
正直悔しい……
僕は黙って俯き、皆が教室から移動するまでぎゅっと爪が食い込む位手を握っていた。
別に、魔法が使えなくなったことは後悔してない。
アリスを護れたんだから、魔法が使えなくなることぐらい安い物。
でも、落ちこぼれと言われる度に遠まわしに彼女を護ったっていう誇りを踏みにじられているようで、悔しくて堪らなかった。
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