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武器を選び、手にしたと同時に先生が格闘場に入ってきた。
よくみると後ろには他のクラスの生徒が居たが格闘場の僕達が使う反対側へと向かっていく。
「シルバークラスの奴等も今日模擬戦をやるそうだ。
まぁ気にせずやるぞ、まぁボコボコにならないようにな」
先生が僕を見ながらそう言ったのを皮切りに向けられるのは、クラスメイトからのニヤニヤとした視線。
どう痛めつけてやろうか?多分そんな事を考えているのだろう。
本当は自分でも頭の片隅では分かっている。
魔法も身体強化すら使えない僕は勝てないという事も……
でも、アリスを守れる位強くなりたい。
そのためには、模擬戦で勝てるようにならなくちゃいけない。
だから僕はあの目標を立てたんだから……
そう思いながら持っていた刀をぎゅっと握り締める。
「じゃあ適当に始めるぞ?」
そう言って模擬戦がスタートした。
他の皆が呼ばれどんどん試合をこなしていく。
途中アリスが呼ばれ試合に行ったが30秒もたたない内に敵を蹴散らしてこちらに帰ってきた。
先生はそれを見て舌打ちしていた。
僕の味方をしてくれるアリスをどうやら心よく思っていないみたい……
「おい、落ちこぼれ……試合だ」
そう声を投げかけてきたのは先生。
その顔にはやはり見下すような視線と、これから僕がボコボコにされる事を楽しみにしているとでもいったような表情を貼り付けていた。
アリスが抗議しようとしたけど、僕は無言で首を横に振りアリスを止めた。
してくれるのはうれしいけど、どうせ無駄なことだから。
僕はアリスが応援してくれるだけで良い。
そう思いながら、対戦相手の所へと歩いていった。
「頑張ってください」
そうアリスは僕に一声かけてくれた。
「うん」
とそれだけ僕は返事をしながら歩みを進めた。
そんな僕を見てる皆の表情はニヤついている。
だけど…遠くで違う視線を向けている、3つの視線には気がつかなかった。
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