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愛「私、行くね。」
席を立つとそこから窓の下が見えた。
私達の教室は二階。
バッチリその駐車場が見える。
外には翔先輩が車の傍に立って私達の教室の方を眺めている。
一瞬……目が合った―――
遠目からでも分かるその笑顔。
先輩は手を上げると運動場の方を指差した。
私もまたコクリとそれに頷く――
いつもの火曜日がまた始まる――
愛「…じゃ、崎田君、樹里と仲良くねっ。坂田先生には言っとくから……」
崎田「え…あ……あぁ……頼むよ…」
教室を後にするとかすかに二人の会話が聴こえてきた。
樹里「…部……ホントに大丈夫?」
崎田「…いいよ。たまには俺も休みたいし……」
二人はクリスマスを境に付き合いだした。
それは当たり前のつきあっている高校生の恋人同士の会話――
ふと……頭の中に『彼』の顔が過ぎった。
だけど、私はそれを振り払い――
下唇を少しぎゅっと噛んだ。
愛「…もう少し……大丈夫…っ…」
いつもの如くそう自分に言い聞かせて私はその場を駆け出した。
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