変わりゆく季節

2/11
前へ
/707ページ
次へ
春――― 高校三年生になった私は新学期をむかえていた。 樹里「愛梨、翔先輩来たみたいだよ?」 教室の窓際で樹里が私に手招きしながら呼んでいる。 放課後――― いつものように私は部に出る準備をしている。 樹里「…あ……気づいた!」 そういうと、樹里は慌てて外から見えない窓の裏に隠れた。 その瞬間、いつもの声が聴こえてくる――― 翔「おーい!樹里ーーー!!」 その校舎の下には駐車場がある。 翔先輩が樹里の名を呼ぶと樹里はカラダをビクッとさせた。 樹里「愛梨~…出てよぉ……」 樹里は翔先輩に対して好感はもってはいる。 だけど、いざ…ってなるとやはり苦手のようだ。 愛「…放っておいていいよ。」 私はそっけなくそう答えた。 樹里「でも……」 愛「いいから、いいから……そんなことより、樹里、行かなくていいの?」 そう私が言って廊下に目を向けると、樹里もまた同じようにその方向へ目を向けた。 そこには……彼女を見つめる人がいた。
/707ページ

最初のコメントを投稿しよう!

366人が本棚に入れています
本棚に追加