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春―――
高校三年生になった私は新学期をむかえていた。
樹里「愛梨、翔先輩来たみたいだよ?」
教室の窓際で樹里が私に手招きしながら呼んでいる。
放課後―――
いつものように私は部に出る準備をしている。
樹里「…あ……気づいた!」
そういうと、樹里は慌てて外から見えない窓の裏に隠れた。
その瞬間、いつもの声が聴こえてくる―――
翔「おーい!樹里ーーー!!」
その校舎の下には駐車場がある。
翔先輩が樹里の名を呼ぶと樹里はカラダをビクッとさせた。
樹里「愛梨~…出てよぉ……」
樹里は翔先輩に対して好感はもってはいる。
だけど、いざ…ってなるとやはり苦手のようだ。
愛「…放っておいていいよ。」
私はそっけなくそう答えた。
樹里「でも……」
愛「いいから、いいから……そんなことより、樹里、行かなくていいの?」
そう私が言って廊下に目を向けると、樹里もまた同じようにその方向へ目を向けた。
そこには……彼女を見つめる人がいた。
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