強いあなた

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「結婚式、どうだったのよ」 オカマバー、とは言いたくないし目の前にいるオカマに怒られるから声に出して言わないがあたしにはここしか居場所がない。だから今日もこの空間にきて、生ビールからスタートさせた。 「ちょっとぉ~、香苗(かなえ)ちゃ~ん」 今日はいつもより酔いが回るのが早い。 「…おかわり」 分かっていてもしたくなる。だって明日は土曜日だ。 「ペース速くない?」 いいからぁ、って言いつつ分かってる。誰かにただ構って欲しいだけ。 仕方ない、っていうため息。同時に注がれた液体は大好きな金色。店の証明で余計綺麗に見える。 笑って取っ手を掴む この喉に通る感じ、やめらんない 「中毒になっちゃうわよ」 見るといつもより綺麗な気がする鉄(てつ)ママ。あたしの最高の相手 「で?知子ちゃん、どうだったのよ~」 あたしより、女らしいな 「ねぇ、聞いてる?」 「うん、綺麗よ。鉄っちゃん」 ちょっと、それで呼ばないで、とぺちっと右手の甲を叩かれる。 鉄っちゃん。昔のママのあだ名。今も確か、まだ男だったかなぁ 「そりゃ、ね」 ぐび、と飲む。 「綺麗だったよ、うん」 幸せそうだった。本当に。
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