看護士 根津壬月

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  「コラッ!!壬月!いつまで寝てる!毎朝起こしに来るアタシの身になれっ!!」    朝っぱらからけたたましく大声を張るその声が、僕の眠りを妨げる。   「……おはよう、ございます、先生」    僕はこの真中医院に住み込みで働いている看護士で、朝から機嫌の悪いこの女性は、白石久美。この真中医院に勤める医師の一人だ。   「おはようございますじゃない!!さっさと準備しろ!黒石先生はもう帰って今も患者さんを待たせてるんだ、君はアタシに全部やらせる気かっ!?」    毎日思うけど、この白石先生は見た目と違って口が悪い。キツネ色に染まったボブに色白な肌、ぱっちりとした二重瞼にやや高い鼻、そして化粧をせずとも整った顔立ちが、黙っていれば雑誌モデルにでもなれるんじゃないかと思ってしまう。   「じゃあアタシは下にいるから直ぐに来いよ?分かったな?」    白石先生は僕を脅すような目で見据えると、駆け足で階段を下りていった。    ――今日も忙しくなりそうだな。そう頭の中で呟くと、僕は朝っぱらから溜息混じりに着替えた。  
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