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俺は理事長室から出て学校内を煙草片手に歩き回っていた。 部屋を出る前に邪魔な髪を顔にかからないようワックスなどで整えた。 服装もネクタイやシャツもだらし無く、耳にはピアスを着けた。 だから顔が出て、何時もの地味な俺ではない。 しかもあの4人より整った顔だ。 さてさてどうしようか。 陞にはああ言ったが今回ばかりは少し真剣にやらなければ。 今までだって研究所のヤツらは来ていた。 なのに研究所からの刺客はいつも俺達を捕まえようとしていた。 普通、逃げたヤツは殺される。 俺達が殺してきたのだから。 だって、命令に背く実験台はいらない。そんな考えだったはず。 なのに捕まえようとする。 まるで俺達だけ成功したかのようだ。 逃げた鳥を鳥かごに戻すように。 そんなに大事か?俺達が。 そんなに鳥が大事? ククッ、アイツが? まぁ刺客はたかが二人のガキ。 大丈夫だろ。 アリスと白兎。 新しい成功例の可能性もあるしなぁ。 でも、このチェシャ猫が負けるわけない。 "お前は本当に美しい。  俺の大事な大事な・・・・。  絶対に離さない。" 懐かしい、嫌な声が頭に響く。 「誰が簡単にテメェの人形になるかよ。馬鹿紫莫シグレ。」 「シグレってあの方のコト?」 いきなりの声に驚きを隠しながら振り向いた。
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