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紫莫Side "大人しく?悪いけど、俺に喧嘩売った鼠は殺すから。この俺が大人しく待ってるとでも?" 久しぶりに愛しい猫の声を聞いた。 ゆっくり俺の中に浸透していき、俺を満たす。 チェシャ猫は俺が創った。 創ったと言えば少し違う。 俺がアイツに力を与えた。 性格や体などはいじってない。 研究所に売られた子供の中で他人より少し優秀だったアイツをさらに優秀にしただけ。 だから、俺の中のチェシャの印象は作品ではなく、パートナーのが近い。 だから、近くにいないと空気が薄い様に息が苦しい。 水の中のように上手く身体が動かせない。 それだけ、チェシャは大切な存在。 早く、戻ってこい。 嫌われてないのは今の電話で分かった。 大丈夫。チェシャの中に俺がいた。 大丈夫。チェシャの声を聞いた。 大丈夫。チェシャは今も大切なパートナーだ。 それが分かっただけで十分。 チェシャに言われた通り掃除しよう。 チェシャ猫が頑張っているのに俺が頑張らないでどうすんだ。 帰ってくるなら俺がアイツの場所を作らなきゃな。 ゆっくりドアを開け、研究所に入る。 「所長。珍しいですね。」 「ん?あぁ。怠けるなって怒られてなぁ。」 「紫莫さんを怒るなんて大物、いましたっけ?」 「まさか、チェシャ猫とか言わないですよね。」 「そのまさかだったらどうする?」 俺はニヤリと笑った。 驚く研究者達。 「テメェら。チェシャ猫が帰ってくるぞ。研究が進んでないとバレたら嫌われっぞ!死ぬ気で頑張れ!」 チェシャ猫が帰ってくると喜び研究に向かうヤツが半分。 驚き、怒りと焦りが出るものが半分。 半分も腐ってたか。 そりゃ怒るよなぁ。 チェシャ。待ってろよ。 そのうち会いに行く。 一緒に裏切りモノを掃除しようか。 まぁ。まずは此処の掃除かな?
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