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「すみません、ご迷惑でなければお邪魔させて頂きたいのですが……?」
「あらあら相変わらずしっかりしてるのねぇほのかちゃんは。どうぞゆっくりしていってね、今日は何も用事ないから」
……用事はない?……つまりお客はいない……あぁ成る程、そういうことね。ユイの最後の作戦はいきなり潰れたわけだ。さっきからぶつぶつ言ってたのは、これ考えてたからか?
「じゃあおじゃましまーす」
「お邪魔します」
それぞれ玄関で靴を脱いで上がるのとすれ違いに、ユイのお母さんが外に出る。さっきゴミ袋みたいなのを持ってたから捨てにいくんだろう。
靴を揃えていると、ユイがまたも慌ただしく話し始めた。
「あのさ、あのさ、今私の部屋汚いんだよね!掃除するの忘れちゃって……」
まだ言い訳してるよ……よくもまぁあれこれ思い付くもんだ。だけどここまできたらこっちだって引き下がれないぞ。
「気にすんなよ、俺の部屋だっていつも散らかってるし」
「うんうん、タクの部屋はホント汚いよな。いついっても足の踏み場『が』ないよな」
「ひでぇなオイ……ま、そーゆーことだから気にすんなよユイ」
「だ、ダメダメ!ホラその……パンツとかブラとか散らかってるから!」
「へぇ……それは俺大歓迎だぞ、ユイちゃん!」
「ダメだって!入ったら殺すかんね!!」
「つーかユイ、お前ブラとかしてんの?sizeあったのか」
「そうそうあたしの場合小さすぎて逆にサイズが……ってノらすな!!てゆーか何でサイズだけ発音いいんだよ!!てゆーかブラぐらいしてるっての!!」
「それじゃ私と一緒に片付けましょうか。二人ならすぐ終わるでしょ?」
「いや、えっと……とにかくそれもダメなんだってば!」
なんだか段々可哀相に見えてきたな……もう折れてやろうかなぁ……どうしても見られたくないんだろうか……
そんな空気が俺達3人の間に漂い始めたまさにその時、後ろから聞き覚えのある声がした。
「あー結衣香ー?今日部屋掃除しといたからねー。ちゃんと場所は変えてないから安心しなさーい」
「……」
「………」
「…………」
……こりゃ俺でもどうにもできないな……みんな同じような顔してるし……ユイは……
……なんか呆然としてるよ……
結局どうしようもなくなった俺達は、みんなで仲良くユイの部屋まで向かう事にした。
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