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オイデ……
……ヤダ……
コワクナイヨ……ダイジョウブ……
イヤダ……!
イヤダ……イヤだイヤダ……!!
イヤダ……ッ!!!
……また、この夢か。
見慣れたもんだ。いつもの夢。最近は本当に夢なのだろうかと考えられるくらいの余裕もできた。
いつもこの夢の中でしか感じる事のない雰囲気。聞こえて来るのは嵐の中にいるかのようなうねりの音。
見えるのはぐにゃぐにゃに曲がったセピアの世界。何度も見ているとあれこれ気付くらしく、ここが古い家の中らしいという事を最近理解した。
目の前にいるのは少女と思われる人影。簡素な作りのワンピースだけが、『白』という色を主張する。
ワンピースだから女の子だとは思うのだが……もしかしたら女装でもしてるのかもしれないな。
そろそろ視点が動くな。ここから……そう、右下だ。見えるのはいつも通りの黒い岩。部屋の中に岩があるってことは、相当な富豪なんだろうな、この家。
この黒い岩を暫く見続けると、ザザッと雑音が入る。それにつられるように、また視点が少女に移る。そして視点はそのまま下に移り……そこに見えるのは、そう──
──赤い影───。
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