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「みんな……よく思い出してくれ」
3人は俺の言葉に不思議そうな顔をしながら耳を傾ける。
「みんな……最近、ユイの部屋行ってなくないか?」
「あ、あたしの部屋あ!?」
ユイが目を一層丸くする。俺達は暇な時間を過ごす時、お互いの部屋に行く事が多い。
勿論釣りをしたり海で遊ぶ事も多いのだが、冬に大雪が降ってあまり出られない時や、ダラダラしたい時なんかは部屋で皆してゴロゴロしたりもする。
しかもそれぞれ用途が違い、俺の部屋は漫画を読みにきたりする時。カズの部屋は音楽を聞いたりする時。ほのかちゃんの部屋は彼女の趣味であるジグソーパズルをやる時……といったようになっている。
で、ユイの部屋は……というと、昔オママゴトをやった記憶や、半年前くらいに部屋の前で1時間も待たされた揚句、30分くらい中で喋ったくらいだ。
「そういえば……しばらく見てないわねぇユイの部屋……」
「言われてみればそうだよなぁ……うん、久しぶりだ。」
よし、上手い具合に二人とも食いついてくれたぞ。後は言い訳を押し退けるだけか……よし、俺の力の見せ所だな。
「あ、あたしの部屋はダメだって!絶対ダメ!」
「なんでだよ?いつも皆の部屋使ってるんだからさ、たまにはいいだろ?」
「ほ、ホラ麻雀は集会場じゃないとできないでしょ?ね?」
「何言ってんだ、わざわざいつも自転車でマットと牌持ってくるのお前じゃないか。」
「あ……いやほらその……そう線香!家線香臭いからさ!じいちゃんがいつもやるし!」
「別に線香くらい慣れてるぞ。それに集会場の方が臭いだろ」
「いやでもほら、その……」
すごい慌てようだな……そんなに部屋に入れたくないのか?こりゃますます気になるな。
「んー、なんかその慌てっぷりも気になるな……ねぇほのちゃん?」
「そうね……私もカズくんと同じ意見。今日はユイの部屋で麻雀、って事でいいんじゃないかしら?」
「うぇう、ほ、ほのかまでぇ~……」
二人も同じ意見みたいだな。納得しながらユイの方を見ると、八方塞がりになったという感じが見て取れた。これで決まりだな。
「わ、わかったよ……じゃあみんな着替えたらウチきなよ……」
ふっ……今日の俺は一味違うな。今のセリフの違和感、ここまで気付くとは……!
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