壱の巻 -カンチ、初仕事に候-

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翌日。 目に痛い朝陽で、ワシは目を覚ました。 「さて、今日も今日とてお仕事ーっ、と」 仕事着の袴に着替える。 ワシの一張羅や。 皆が捨ててしまった古い文化やが、 洋服にない暖かさが好きで、ワシはこれを愛用しとる。 「今日は…橋の下でやってみよか」 ルイン区で一番人通りが多い大橋。 その下にも大きな道路が通ってて、客寄せにはもってこいや。 「最近は同業者がいっぱいおって仕事にならんかったが…」 今日はいつもより早起きや。 この時間なら大丈夫やろ。 「朝飯は…我慢、がまんや」 空きっ腹はキツいが、切り詰めないと生活できへん。 …ホンマ、ツラいなあ…
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