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聡はふと気がつくと、昔、兄とよく野球をしていた、河川敷に寝転んでいた。 「……あれ、俺、さっきまで庭で素振りしてなかったっけ?」 「…聡、こんなところに居たのか、風邪ひくぞ。」 「……えっ?」 名前を呼ばれ、ふっと顔を上げると、兄が聡の顔を覗きこんでいた。 「…に、兄さん!!」 「なんだよ、死人が生き返ったように驚いた顔しやがって」 「…だ、だって」 「それより、今日のことは気にするなよ。」 「…え?」 「今日、少年野球の監督さんに言われたことだよ。兄ちゃんは何度も言ってるだろ?『俺は俺、聡は聡。それに聡のほうが才能あります!』ってさ」 「…あ、うん。」 「みんな気づいてないんだよ、聡の才能にさ」 「……そんなことないよ、俺、全然打てないし、いつまで経っても、何年経っても、兄さんには、追いつけないよ!」 聡がそう叫ぶと、兄は聡の隣に寝転がる 「そんなことないよ、聡はまだ身体ができてないし、あと打つとき、体が前に出ちゃってるから、手打ちになってるんだよ。バッティングフォームを改善すれば、一気に四番だ!」 「……そうかな」 「そうだ!兄ちゃんが保証してやる!それと、あまり兄ちゃんに固執するなよな!」 「だって…」 「今の聡のバッティングフォーム、兄ちゃんのコピーだろ!聡には聡のバッティングフォームがあるんだから、無理に兄ちゃんのフォームにしようとしなくていいんだぞ。」 「……うん。」 「聡は兄ちゃんのコピーじゃないんだからさ。……ごめんな、兄ちゃんのせいで、こんなことになって」
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