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「……兄ちゃんのせいで、聡の風当たり、悪いだろ?なんでもかんでも兄ちゃんと比べられてさ。」
「…う、うん。」
「兄ちゃんは、それが嫌で嫌で仕方なかった。
兄ちゃんが聡と同じ歳の頃は、兄ちゃんは上手くなかった。
たまたまバッティングピッチャーやったとき、自分の才能に気づいたんだよ
兄ちゃんは、ボールを0,01秒でキレる、繊細な指先の持ち主だった
兄ちゃんは運が良かっただけさ。
でも、聡は毎日トレーニングを欠かさない秀才。
トレーニングをするたびに聡は上手くなってく。
そんな聡をみんなに認めてもらいたかった。
なのにみんな、聡の努力と兄ちゃんの運を比較する
どうしたら、いいか必死で考えた
どうしたら、聡の努力をみんなにわかってもらえるか。
でも、聡はそんなことを気にせず、兄ちゃんの真似ばかりする
兄ちゃんの真似をしたら、下手になるばかりなのに
兄ちゃんには、指先しかないんだ
この指先しか……
だから、聡。もう兄ちゃんを見るな!
聡には、この指先以上のモノがあるだろ!」
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