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二年前、私達は同じ教室にいた。
特に有名じゃなく、特に進学校って訳でもなくて、ただただ普通の公立高校の二年生の教室。
2月14日の放課後。
校庭からは野球部とテニス部の練習する声が聞こえ、別校舎の音楽室からは吹奏楽部の演奏が聞こえてくる。
ごくごく当たり前の青春の1ページ。
「邦昭。ほら、どうせ貰えなかったんでしょ。私と樹里から、お情けの義理チョコあげるから」
「まったく、恩着せがましいな」
「そうよ、潤子。そんな言い方、無いと思うな」
津和野 邦昭。
米倉 潤子。
そして私、大木 樹里の三人は、気が付くと放課後いつも一緒にいた。
クラスで部活に入ってないのは、私達だけで放課後になると取り残されてしまい、いつの間にか仲良くなってた。
潤子は、私が作ったチョコ。
私も、一応は手作りのトリュフチョコ。
邦昭は、その場でチョコを食べて感想も言わずに、帰り支度をするといつも通りに「帰ろ」と言った。
頑張って、作ったのにな。
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