体感温度(トップ3)

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―ピピッ 「37.6℃に34.3℃…お互い交換したら平熱じゃない。交換したら?」 「出…き、るか…ッ!!」 苦々しげに呟いたガゼルの荒い咳が室内に蔓延する。 同じく隣で寝ているバーンはすでに咳も出来ないほど虫の息だ。 風邪の原因は昨夜の喧嘩だった。 ウイルスがそこらに転がっているような時季の夜に外でホースを使った水の掛け合い。風邪を引くなと言う方が難しい。 「全く、俺を巻き込まないで欲しいな」 「…しょう、がない、だろ…おま、しか居なッ、!!」 「はいはい辛いなら喋らないで。バーンみたいに静かに眠った方が得策だよ?」 そういって二人が視線を送るも当の本人は全く動く様子がない。 むしろあれは息絶えているのではないだろうか。 少し心配になったヒロトが顔を覗くも恐らく生きていたのだろう、大丈夫だと言いたげな視線をガゼルに送った。 それを鼻で笑って返そうとするも途中で咳き込んでしまう。 ヒロトは苦笑いを浮かべて部屋を出ていった。
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