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訳あって一緒に暮らし始めたものの、元上司と部下とあってなかなか慣れるものではない。
緑川はひしひしとそれを感じながら行儀よく椅子に座り食事が出来るのを待っていた。
デザームはああ見えて結構家庭的である。
最初こそ緑川が家事をやろうとしていたがデザームがそれを止め、世話になることになった。
瞳子から聞いた話によればサッカーに集中して欲しいためだとかなんとか。
(優しい人、なんだろうけど…)
いまいち掴めない。
もとより印象が宜しくない。
ちょっとだけ、怖い。
そうこう考えている内に準備が終わったらしい。
運ぶのを手伝ってくれと声がかかり緑川は席を立った。
「「……。」」
この人と何かをするさいに、沈黙ほど怖いものはあるだろうか。
黙々と箸を進めているデザームに声をかけられるほど緑川は肝が座っていない。
諦めて同じように黙々と箸を進めていた。
先ほども述べた通り、デザームは家庭的である。
料理の味付けも文句なしに美味い。
緑川はまだそれほど時間が経っていないが、外食するよりかはデザームに作ってもらった方が嬉しいなど考えていた。
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