青い蓋の内側に

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 スイッチが切れていたが、さっき上がって行ったエレベーターが気になり、そっとモニターの電源を入れる。モニターは一瞬だけフラッシュし、エレベーターの内部を映し出す。  そこにはエレベーターの中は一面水浸しで、その中にポツンと置かれた黄色いバッグが映し出されている。  反射的にモニターを見ると表示は26階になっている。  途端に眞子の背中に冷たいものが走った。  ちかちかと点灯しているのは階停止ボタンで、しかもそれは一階を表示している。  ここに来る!!逃る?どこへ!?分からない!!でも、ここにいたらいけない。  管理人室を飛び出し、入口に向かって走り出す。どこに向かっているのか分からない。だけど逃げなくてはいけないという脅迫観念に駆られ走る。  入口を飛び出すと、聞いたことがある軽快なメロディが聞こえてきた。眞子はその音を知っている。それは管理人が使っていた携帯電話の着信音だった。ついさっき聞いたので間違いない。  一人ではない安堵に誘われるように眞子の足がそちらに向く。  音はゴミ捨て場から聞こえてくるようだった。やっぱり管理人はゴミを捨てに行っていただけなのだ。  安堵と共に眞子の歩調が速くなる。ゴミ捨て場に近づくにつれて音は次第に大きくなってくる。 「管理人さん、あの……」  そして眞子は飛び込むようにして管理人のいるはずのゴミ捨て場に駆け込んだ。  しかし、眞子を迎えたのはあのおしゃべりな管理人ではなかった。音が鳴り響くゴミ捨て場にはだれもいなかったのだ。  ゴミ捨て場のポリバケツの横にぽつねんと携帯が落ちていた。  主を失くした携帯が落ちていた。  そう軽薄な光と音を垂れ流す携帯電話だけが落ちていたのだ、管理人の代わりにあの黄色いバッグと一緒に……  携帯の音が止む。まるでその役目を終え、息を引き取ったかのように。 その時不意にカタン、と音を立てて背後のポリバケツの蓋が落ち、渇いた音を立ててころころと足元に転がって眞子の足に当たり、地面に倒れる。そして、眞子の足元には死んでしまった携帯電話と。あの黄色いバッグが……
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