スクラッチロール

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締め付けられたその痛みはなんて甘美。
傷痕は醜く残るけど、見たくないものから逃げられるなら甘んじて受け入れる。

そして、手放せなくなる。
あたしはすでに砕けた硝子のように、鋭利なナイフを素手で握りしめている状態だ。

人間は、痛みを抱えて生きている。
生きる上で、痛みは必ず付いて回るモノだから。

あたしの痛みは、あたしだけのものであって、誰も共有など出来ずに、わかるなんて言葉は安いってことをあたしは知っている。

所詮は慰めであり、同情。
恋愛もあたしにとっては、ただの同情心じゃないのかと、慰めあうただの傷の舐めあい。