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玄関に立つ。 ドアののぞき穴で入念にチェックする。 のぞき穴の向こうの彼女は、確かにあたしの友人である久住ゆうひの恰好をしていた。 明るいオレンジに染めたセミロング。 氷のような瞳。 クールビューティと言うべき、あまり変わらない表情。 陰気で出来たようなあたしと違って、愛でられるような美しさをみせつけるような。 あたしを笑いにきたに違いないわ。 ゆうひに扮した悪魔が、あたしを嘲け笑いにきたに決まってる。 あたしは、自分の手の感覚がないのも気にせず、それを握りしめる。 ぬるぬるして気持ち悪いけど、少しだけ安心する。
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