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何かが倒れた音。 俺の耳に不吉な音が届く。 彼女と繋がっていた携帯電話を、怖々俺は見つめた。 今……俺は、去年まで住んでた家の前にいる。 銀紙を剥がせば答えは出るが、剥がしたくない恐怖。 不安で、不安で仕方がない。 悪い予感ほど外れないものだから、それが事実だと認めるのが怖かった。 彼女は、スクラッチのように全てを明かしていかなくてはならない世の中へ嫌気が差しているが、俺はそんな世の中だからこそ生きやすいと思ってる。 知らないものは知らなかったで済ませられることは、自分の身を守るものだからだ。 無知は罪だが、だからこそ盾となる。 だが、ここでミスれば彼女は……。
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