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チープな恋愛小説は、ヒーローとヒロインが恋に落ちて、無事付き合ったらそこで終わる。 現実にはまだ続くはずの物語など書かれず、また読者は読むこともしない。 夢でしかないのに何故か流行るハーレムやラブコメは、ただ現実逃避のような気がしてあたしは好きではない。 小説の彼らにはいつも周りに人がいて、面白いことばかりで。 夢の世界のようだわ。 リアルにやると鬱陶しいものも、虚構だと許される。 ただ、あたしのこの行為は虚構にはならないなと、吸っていたピアニッシモの煙を吐き出す。 ちょっとおセンチに浸って、かっこよく見せようかなと火をつけて吸ってみただけの初めての煙草は、煙が目に染みて痛かった。
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