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あたしは煙草の灰をコンクリートの無機質な地面に落として、もう一度口つける。 1箱320円でこんな苦いモノをなんで吸いたがるのかは、わからない。 自分の父親が毎日1箱ずつ空けていくから、不思議に思ってた。 開けて試しに吸ったのはいいけど、処理に困ったそれを、あたしは肩から掛けた黒のショルダーバッグに入れた。 化粧品や財布、その他流行りのゲーム機などで、ごちゃごちゃした鞄の中身に頭痛を感じながら、あたしは自分の愛用してるブルーラベンダーとかいう色してるらしい、メタリックの青紫の携帯電話を取り出した。 まぁ……、現実なんてそんなもん。 あたしは依存気味になっている携帯電話を無意識に起動させつつ、口の中の苦さに後悔し、灰皿を探した。
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