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振り返ると窓の向こうでドレス姿のミミが手を振っていた
「ミミちゃーん!無事だったんだね!もう心配で心配で…」
「ありがとう。ティラさんは優しいね」
ミミは後部座席に乗り込む
「で、ちゃんと撮れたんだろうな?」
「当たり前じゃないの」
ミミはつけていたペンダントを外し、後部座席に置いてあるパソコンに接続した
「ねぇねぇ、それ何処で入手したの?」
「企業秘密ー。ティラさんは覗きに使いそうだから教えなーい」
ミミは忙しくキーボードを叩くと、画面を二人の方へと向けた
『どうぞこちらへ』
黒服の男が映りこんだ
「綺麗に映ってるな」
「でしょー?ちょっと最初の方は飛ばすわよ」
ミミがキーボードを叩くと映像が早送りされていった
「おっと行き過ぎた…」
少し巻き戻されて再び映像が流れだす
『よくいらしてくださった。ワインでも?』
優しい雰囲気の壮年男性だった
人の良さそうな笑顔を向けている
「カール・チャップマン、表向きの職業は貿易商ね。見ての通り大豪邸に住むほど儲けているみたいだけどその実……」
「大方、密輸ってとこだろう?」
「なんかステレオタイプなやつだな」
「いいじゃないの。悪い奴から盗めば良心傷まないし」
「君に良心なんてあるのか?」
「ルーノ、口を慎め!ミミちゃんみたいな天使は良心の塊だろう!」
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