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『いやなに、実はもう一人客人が来る予定でね。もう年なのか、何度も金庫室へ行くのがね』
その表情はすっかり元に戻っている
「聞いていたのか?」
「いいえ。どうせ計画に支障はないでしょう……と思っていたんだけどね」
『やぁ、待たせたね』
その野太い声の持ち主にふさわしい男が画面に映り込む
ベルトに乗った腹をさらに突き出すように堂々と歩く
『おやおや、素敵なお嬢さんがいるな?お前のコレか?ん?』
『ご冗談を。ビジネス相手ですよ』
男はガッハッハと耳触りな声で笑う
「まさかホットウェルが絡んでるとはな。ルーノ、お前は降りた方がいいんじゃないか?あいつは……」
「問題ないよ。何もあいつとやり合うわけじゃない」
その表情から強がりでないことが分かる
『では金庫室に向かいましょうか』
カールが立ち上がり、二人がその後に続く
『未だに屋敷内で迷う奴がいるんですよ』
迷路のような道を淡々と進むカール
やがて階段を降り、地下へと進む
似たような道をさらに進むとその部屋はあった
他の扉とは明らかに違う頑丈そうな扉
その横にはパネルがある
何も書かれてはいないものの、この扉の先には宝があると言っているようなものだった
『ちょっと待ってていただけますかな?』
カールはポケットからカードのような物を取り出し、パネル横にある溝に通した
『カール・チャップマン』
カールがパネルに声をかけるとピピッと電子音が鳴った
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