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もう五分は歩いているだろう
それなのにまだ回りきれないだけ敷地が広いということになる
「さすが防犯対策もバッチリか」
高い塀が屋敷を囲い、数ヶ所には監視カメラらしきものが確認出来る
「怪盗街から離れてるとはいえ用心したくもなるか」
誰が見てもその一帯の持ち主が『金持ち』であることを象徴している
ルーノは下見へと来ていた
とはいえルーノが出来るのは外部からの見学でしかない
ルーノは一周回ったところで止めてあった車へと戻った
「よう、どんな感じよ?」
車の中では男が一人待機していた
線が細いルーノとは対称的に黒のタンクトップが似合う筋肉隆々の大男
この男も怪盗だというから驚きだ
「一筋縄じゃいかないね。これ、確認出来た監視カメラ」
「うわー、壁にピンホールカメラまで……こりゃ相当警戒してるわな」
「それだけ怪盗に中に入られちゃまずい理由があるんだろう?」
「相変わらず宝のことになると嬉しそうな顔をするんだな」
「ん?そうか?」
ルーノはバックミラーを覗きこむ
自分ではその変化が分からない
「それよりミミちゃんは本当に大丈夫なんだろうな?」
「知らないよ」
「はぁ!?もしミミちゃんの身に何かあったらなぁ……」
男がその太い腕をルーノに伸ばそうとした時、車の窓をノックする音が聞こえてきた
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