ある女子高生の話

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とある高校の教室の窓際の席に 桜の花びらが窓に打ち付けられては落ちていく様を眺めながら ハゲ散らかした中年教師の吐く眠気を誘う呪文を、見事なまでに聞き流す少女がいた。 根本が若干黒くなり始めた金髪を5分おきにいじりながら 彼女は外のグラウンドにふと視線を投げ掛けた。 学校指定のジャージを着た少年達が 体育教師にどやされながら必死に走っていた。 ジャージの色から彼女の一つ上の学年、三年の生徒であることがわかった。 長距離走なのだろう。 半分の生徒は各々の相方のタイムを計っているのが見えた。 「…あ」 不意にタイムを計っている生徒の一人と目があった。 一人だけ金色のメッシュをいれた彼は、彼女の姿を確認すると、満面の笑みで手を振ってきた。
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