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「…えへへ」
彼女は嬉しそうに微笑むと、小さく手を振り返した。
すると、彼の相方らしき生徒が彼に駆け寄ってきて、何やら口論を始めた。
どうやら彼女に手を振るあまりタイムを計り損ねたようだった。
相方に笑いながら謝りつつも、未だに手を振ってくる彼に、彼女は笑いを堪えるのに必死だった。
授業が終わり、昼休みに入ると友人たちと席を近付け昼食を開始する他の生徒たちを尻目に
彼女は教室を後にして屋上への階段を駆け上がった。
そこには薄い白い雲で覆われた空が広がっていた。
「ん~!きもちぃ~!」
彼女は小さめな体を精一杯伸ばすと、ベンチに座り待ち人を待った。
しばらくしてドアが開き、先程のジャージの少年が現れた。
「亜実ぃー腹へった!」
彼は彼女に駆け寄ると金と黒が混じりあう髪を掻きながら
大袈裟な素振りで隣に座ると餌をねだる犬の真似をした。
「あはは!はい、これアキトの分!」
彼女は笑いながらビニール袋からパンを2つとペットボトルを取り出すと彼に差し出した。
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