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屋上に二人の笑い声が広がっては消えていった。
彼女を知る人間がその情景を見たならば、恐らく驚きを禁じ得なかっただろう。
彼女は恋人である彼、アキト以外と率先して関わろうとはしなかったからだ。
彼女の笑顔を見たことがあるのは限られた人間だけだった。
勿論彼女にとってはそれで十分だった。
彼女は心底彼に惚れていたし、彼に合わせて髪を金に染めるほど心酔していたのだ。
二人で過ごす屋上での一時
二人で歩く放課後の帰路
二人で様々な場所を訪れ
そして二人で交わり一つになる。
それら全てが彼女を満たしていた。
それが永遠に続くものだと信じていた。
信じていたのだ。
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