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春のとある日曜の昼下がり
ほのぼのとした言葉とは真逆のどんよりとした雰囲気が
とあるファミレスの一角に漂っていた。
否、正確には喫煙席に座った5人の男女がそんな雰囲気を漂わせていた。
「…え、えと」
一人の青年が口を開いた。
「け…掲示板の書き込みを見てきたんですよね?」
「は、はい」
くたびれた中年が応えた。
周りの人々も黙ったまま頷いた。
「え、えと…じゃあ書き込んだ人ってのは…どの人なんすかね?」
「・・・。」
押し黙る面々。
どうやら青年が尋ねた人間はこの場にいないようだった。
「・・・あ、あの」
沈黙に耐えられなくなった中年は脂汗を流し挙手しながら何かしらの言葉を押し出そうと努力したが、
「…やっぱり良いです」
彼にはそれらの能力が欠けていたようだった。
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