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「おはようございます」
事務所に入り開口一番に挨拶をした彼だったがしかし、
その声に反応する同僚は皆無であり、彼より一回りも若い新入社員ですら
まるで耳が聞こえない風を装っているかのごとく、一瞥することさえなかった。
それでも彼にとってその情景はいつものことであり、彼はもはや何も期待するまいと自らの席につこうとした。
しかし、その日はいつもと違ったのだ。
それはいつも通り他の社員より遅れて出社してきた彼の上司の口からもたらされた。
「おい、田辺くん」
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