三…サークル

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 とある大学のとある部屋。地味で目立たない所にあるその部屋に、彼らはいた。 「これより!新入り歓迎会を始めます!」  二つ合わせた長テーブル。その入り口の反対側の端には、鋭い目つきの怖そうな男と、やたら元気なピンクスーツの女がいた。 「結局来ちゃったよ…」  そして、入り口の端には我らが主人公。雛形洋司がいた。  幼少の頃に出会った「おてらのおばけ」に惚れてしまい、彼女と会いたいが為に霊能者となった彼は現在、念願叶ってその彼女とラブラブライフを送っている。 「ようじ、いやだった?」 「いおりちゃんの為ならばぁ!」 「えへへ」  で、その彼女というのが、今洋司の膝の上に座っているいおりだ。  幼い頃に死んでしまった少女の霊がおばけになったのだが、それ故に見た目は完璧に幼女。ついでに着物の色は赤。  現在は洋司の守護霊として、いつも一緒に暮らしている。 「あの、話聞いてる?」  そんな二人がいるのは、とりあえず秘密らしいが冒頭の通り。「サークル」というグループの本拠地だったりする。 「ねぇ、ねぇってば!」  彼らがここに連れて来られた理由の前に、サークルという組織が… 「話進めろやゴルァ!」  …すいません。  彼らがここに連れて来られた理由は、このやたらテンションの…コホン、ピンクスーツの麗しき女性(でもまだ十九なんだよ、てへ)が洋司の才能に目をつけ、上手く話をつけて二人を連れ込んだからである。 「はい合格」  …彼女の名前は式。名前か名字か分からないが式。この世界で唯一、本編中に話が出来るという、かなり高位な霊能者だったりする。 「式先輩?」 「何でもないのよ~」  まぁ、みんなには聞こえてないからただの独り言にしか見えません。
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