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『時雨』
いつもいつも この雨は決まっている
決まっているのは 降る時
私が一人で河原を歩いていると時雨が降る
私が一人で食事をしていると時雨が降る
私が一人で映画を観ていると 時雨は降るのだ
こんなに気の利いた雨は他に無い
誰にも自慢できない友人なのだ
私が恋人と袂別した夜も 時雨はそっと降る
哀しいだろ・・・・
俺が一緒に居てやるよ
そんな言葉を載せて降る
そして今も
書斎の出窓を覗くと、無数の時雨が降っていた
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