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世界が反転した。ああこのまま私は死ぬんだと諦めていた。痛みはない。ちょうど急所に弾丸が入ったはず。血が溢れてる。なのに痛くないのは感覚が麻痺してるから?冷静に見ていられるのは諦めているから?そもそも殺す殺されるの世界で生きてきたのだもの、いつかはこうなることを心のどこかで理解してた。けれど怖かったから気づかぬふりをしていただけ。胸の奥底で知らぬうちに準備ができていたのだろう。心っていうのもなかなか便利じゃないか。
「…、い」
もう四肢は動かない。仰向けに己の血の中に倒れながら彼のことを思い出す。ああ、よかった貴方は無事だったんだね、残りの視界と聴覚でそれを確認し安心した。
ごめんね、今日のために頑張った、お洋服もお化粧もぼろぼろだね。
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