2人が本棚に入れています
本棚に追加
/7ページ
彼氏がいるっていったって信じてもらえるわけじゃない。
遠距離恋愛で、相手はイタリア人だなんて、どこの妄想家が思いつく嘘だなんて。つくならもっとまともな嘘つけよとか…散々いわれて妄想癖があるってレッテルを張られれば職場で肩身が狭い思いをするだけだった。
コピーした書類をまとめていると、おっさん臭い香水を漂わせてやってくる上司は私の手元を確認する。
右手につけられているのは以前彼氏からもらったといった指輪だ
その言葉に嘘はないのに。
「お前、まだつけてんの~?」
「いたっ」
「結局自分で買ったんだろ?安月給なのにご苦労様」
「離してください」
右手をつかんて部署ないに見えるように高々とあげられる。
それを拒めば、「むきになるなって」と背中を叩かれた。
そそくさと自分のデスクに戻れば隣の同僚がニヤニヤ見ていた。
「ねぇ」
「なんですか」
「イタリア男なんて嘘なんでしょ?いい加減目覚ましなって」
「嘘じゃないです。本当にいるんです。」
「あーはいはい仕事。妄想話はあとで聞いてあげるから」
.
最初のコメントを投稿しよう!