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「頭脳、料理が出来たわよ」
金の髪をなびかせながら彼女は振り向き、手の上の皿を優しく卓上へと置いた。
「ピーマン炒めよ」
語尾にハートがつきそうな微笑みでとんでもないことを言う彼女に鳥肌が立つ。
「…ピーマ、ン、のみ、か…?」
「当たり前でしょう。残したら頭蓋骨撃ち抜いちゃうんだから」
素早く取り出した銃を冗談には見えない構え方で額寸前に突き出される。
止めてくれ!!
思いは通じたのか、彼女は手品のように銃を消してみせた。
「さぁ、たんと召し上がれ」
のみは、……のみは無理だ。
「味が誤魔化せないだろう!!」
ごつっ、という音と共に額にじんわり痛みが広がる。
反論したから彼女に撃ち抜かれたのかと目を開けるが世界は先程とは変わって暗かった。
額を押さえながら眼鏡が無いことに気付き手探りで眼鏡を探す。
かちゃりと眼鏡をかけて視界が良くなると、夜目もきいてくる。
崩れた体勢で辺りをきょろと見回すと、あぁ、確かに、昨夜泊まったホテルである。
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