…00・始めろ

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ちらりと指輪から目を離しこちらを見た。 構えた銃の向こうに彼女を見る。 「………」 すっとソファから降り、こちらへと近づいてくる。 身構えるが、彼女が攻撃してくる気配はない。 彼女の色香が俺に通じないのは彼女も知っている。 何をする気だと構えた状態から睨みをきかせる。 俺から大体五歩手前で彼女は止まった。 「これは貴方にあげるわ」 指輪を指にはめたまま差し出してきた。 指は届かない。 「必死な貴方なんて似合わないし見たくないもの」 じっと見ていると、嘘じゃないわよ、と普段の彼女らしくない笑みを見せたので有難く頂くことにした。 本日活躍のない相棒を下げ、手を伸ばして指から指輪を抜き取った。 「その代わり、貸しよ」 そういうことは先に言え。 内心悪態を吐きつつ、指輪はしっかりと内ポケットに入れた。 「……しょうがない。覚えておく」 「ありがとう」 そのまま脇を通りすぎ、俺の壊した扉の下へと彼女は歩いて行った。
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