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足下の扉を一瞥してふっと顔をあげた。
「ふふ、乱暴はダメよ」
「…その扉が脆すぎただけさ」
そういう彼女もヒールの高い靴でぐりぐりと地に伏す扉を踏みつけていた。
綺麗なものを好く彼女に、確かにここは不似合いだった。
「今度こそ本当にさよならね」
「…あぁ、今夜はどうも」
少し皮肉を滲ませて彼女を見ると、扉に向かって振り返る彼女の、紅に彩られた唇が綺麗に歪む。
「ばいばい、頭脳。…また明日」
「明日?おい、明日って…」
こちらが問いただす前に光を反射する金の髪すらも闇に飲み込まれた。
何なんだよ…
その答えは、明日になれば分かるのかもしれない。
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