プロローグ

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『この町に古くから伝わる伝説をお前たちは知ってるか?』 夏休み前の最後の授業、日本史の先生が暑さを紛らわせるように涼しい話題を持ち出した。 『あー親から聞いたこと有りますーその話。なんでもうちの校長はヅラってやつですよね』 そこで生徒一同からはワッと笑いが起き、日本史の先生も苦笑した。 『あー。プライベートな話は無しにしよう仮に、我らが校長の頭頂部がいかにも人工的に造型された、アブノーマルなものだとしてでもだ。そこは侵してはいけない謂わば神域だ』 ここでも少し笑いが起きた。そしてしばらく生徒が笑い終わるのを待ち、先生は厳粛とした雰囲気を醸し出して言った。 『お前たちはこの町に残る伝説を知っているか?『 今度は誰もふざけたりはしない。完全に呑まれてしまっている。生徒の目が一点に集まる。 『知らないかぁ。僕たちの世代ではちっとばかりは有名な話なんだが』 先生はじらすように徐に話し始めた。
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