1人が本棚に入れています
本棚に追加
「わかったよ。目をつぶっていても見えるようにしっかり目に、心に焼き付けるよ」
はい、と恥ずかしそうに言う千代を横目で見ながらジッと目を凝らした。
この景色、忘れないように。
元樹は薄々わかっていた。
もしかしたら2度とここへ戻って来れないことをそして、やらなければならないことを。
「……今まで、悪いかなって思って聞かなかったけど……。
いい加減教えてくれ。
この村は、どうなっている?」
元樹は上を向いたまま静かな声で、しかし固い意志の籠もった声で言った。
「さっき、質問責めにしたのを根に持っているんですか?」
「そんなんじゃないよ……それは君もよくわかっているんじゃないか?」
千代は両手を胸の前で握り、うつむき、弱々しい声で言った。
「わかりました……。この村は、」
最初のコメントを投稿しよう!