桐島 孝治

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すると桐島はくすりと笑って言った。 「さすがに学生気分は抜けてるよ。28だからね。でも男の28はまだまだ遊びたい盛りなんだ」 桐島があたしの腕を押さえ付ける。 「男の携帯、勝手にのぞくなんて……いたずらにもほどがあるよ?凛ちゃん」 「プライベート用携帯を仕事用と話しておけば、女は触らないものね。なかなか賢いじゃない?」 押さえ付ける桐島に強がって笑顔で返すあたし。力じゃかなわない、精一杯の抵抗。 「万が一触っても、データを仕事先のように登録して、ぱっと見て女とはわからないようにしてあった。あんた他に何人女がいるの?そのフットワークに感心する。野獣もいいとこね」 「よく感づいた。馬鹿女と侮って悪かったよ」 まぁ、気づいたのは偶然だったんだけど。 一見真面目な銀行マンの桐島は女の心理を巧みに使う、かなりの遊び人だった。 桐島がくすくすと笑う。 「お前だって俺に抱かれたくて寄ってきたんだろ?外資の銀行に勤めて、稼ぎも顔も頭もいい男。俺だけ悪者みたいに言うなよ」
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